外国人経営者が日本で建設業許可を取得するには?~要件・手続き・注意点を徹底解説~

日本で建設業を営む場合、一定規模以上の工事を請け負うには「建設業許可」が必要です。これは、外国人経営者であっても例外ではありません。

本記事では、外国人の方が日本で建設業許可を取得するために必要な要件、手続きの流れ、そしてよくある課題について、行政書士の立場からわかりやすく解説します。


建設業許可とは?

建設業許可とは、建設業法に基づき、一定以上の金額の工事(※税込500万円以上の工事など)を請け負うために必要な許可です。

たとえ法人を設立しても、この許可がなければ請負契約を結ぶことができず、無許可営業には罰則もあります。外国人の方が経営する会社も対象です。


許可取得に必要な4つの主な要件

1. 経営業務の管理責任者(経管)の設置

「経管」は、過去に建設業を一定期間経営していた経験が必要な役員です。

外国人経営者ご本人が経管となる場合は、母国または日本での建設業経営経験を証明する必要があります。
経験が足りない場合は、日本人の経験者を役員に迎えることで対応するケースが一般的です。

2. 専任技術者の確保

「専任技術者」とは、各営業所に常駐し、技術面を統括する責任者です。
国家資格(例:1級・2級施工管理技士など)または10年以上の実務経験で要件を満たす必要があります。

外国人技術者でも、日本の資格や経験があれば認められますが、書類による証明や通訳対応など注意が必要です。

3. 財産的基礎の確認

原則として、自己資本500万円以上が求められます。
具体的には、銀行の預金残高証明や直近の決算書で証明します。
外国人経営者が100%出資する場合、出資の経路や目的の整合性が、在留資格「経営・管理」にも影響するため注意が必要です。

4. 誠実性・欠格要件

過去に重大な法令違反がないこと、反社会的勢力との関係がないことなど、事業を誠実に営むにふさわしいかも審査されます。
日本での在留歴が短い方は、証明のための補足資料が求められることもあります。


許可取得のステップ(法人設立から申請まで)

  1. 法人設立(株式会社・合同会社など)
  2. 経営業務管理責任者・専任技術者の確保
  3. 資本金・財務書類の整備
  4. 必要書類の収集(登記簿、履歴事項、資格証明など)
  5. 建設業許可申請(都道府県庁または地方整備局へ)
  6. 標識掲示・営業開始

申請から許可が下りるまで、通常は約1〜2か月かかります。


よくある質問(FAQ)

Q. 日本語が話せない社長でも申請できますか?
A. 可能です。ただし、許可取得後の説明義務や届出対応もあるため、日本語を話せる従業員または通訳の確保が望ましいです。

Q. 経管や技術者を他社から雇うことはできますか?
A. 他社との兼任は原則できません。その人材が自社の常勤役員・従業員として働く必要があります。

Q. ビザ(在留資格)と建設業許可の関係は?
A. 「経営・管理」ビザの更新や永住申請において、合法な建設業の経営であることが問われます。許可の取得が、在留資格の安定にもつながります。


実例紹介:ベトナム人経営者による内装業許可の取得

弊所では、2024年に京都市内でベトナム出身の経営者様が内装工事業の許可を取得された事例があります。
日本人の建設業経験者を取締役に迎え、必要書類の翻訳・資金証明の整備もサポートさせていただきました。

このように、適切な体制と準備があれば、外国人の方でも問題なく建設業許可を取得することができます。


まとめ

外国人経営者が建設業許可を取得するには、
✅ 経管・技術者・資金の要件
✅ 書類作成と行政対応
✅ ビザとの整合性
が重要なポイントです。

少し複雑に感じられるかもしれませんが、適切な専門家に依頼することでスムーズに進めることができます。


当事務所のサポートについて

当事務所では、外国人の方向けに以下の一貫したサービスをご提供しています:

経営・管理ビザの取得・更新サポート

法人設立の支援

建設業許可申請の書類作成・提出代行

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