建設業許可を取得する際に避けて通れない「専任技術者の要件」。
特に、資格ではなく実務経験で専任技術者の要件を満たす場合は、証明方法に悩まれる方が多くいらっしゃいます。
本記事では、実務経験による専任技術者の認定を目指す方に向けて、証明方法や注意点を行政書士の視点から解説します。
1. 専任技術者とは?なぜ実務経験が必要?
専任技術者は、建設業の技術的な責任者として配置が義務づけられている重要な存在です。
通常、国家資格(例:1・2級施工管理技士)を保有していれば問題ありませんが、資格を持っていない場合でも、一定年数の実務経験があれば代替可能です。
2. 実務経験による要件とは?
建設業法では、以下のような経験年数を満たすことが求められます。
学歴 | 実務経験年数の目安 |
---|---|
大学の関連学科卒業 | 3年以上 |
高専・専門卒 | 5年以上 |
上記以外(中卒・資格なし) | 10年以上 |
3. 実務経験を証明する書類とは?
実務経験の証明には、第三者が確認できる書類が必要です。以下のような書類が代表的です。
✅ 経歴証明書(様式)
建設業許可申請書に添付する正式な様式です。ここに虚偽があると許可が下りません。
✅ 工事契約書・請求書・発注書
・どの会社で、どのような工事に関わっていたかを裏付ける資料です。
・工事名・発注者名・工期・金額・本人の役割が明記されていることが望ましいです。
✅ 源泉徴収票・給与明細・雇用契約書など
・当該企業に在籍していたことの裏付け資料です。
・社会保険の加入履歴も併用できる場合があります。
✅ 工事写真や図面(補足資料として)
・証明力は弱いですが、参考資料として添付することで説得力が増すこともあります。
4. よくあるNG事例と対策
❌ 「実務経験はあるが、証明できる書類がない」
→ 対策:元請業者などから在籍証明書や確認書類を作成してもらう。公的な資料(納税証明書、建退共など)を併用。
❌ 経験年数の一部しか証明できず、要件を満たさない
→ 対策:複数の会社での経験を合算して証明できるか検討。特定の年の工事実績が証明しやすいものを優先。
❌ 申請時に「10年前の資料がない」
→ 対策:古い書類でも、税務署の記録やOB・元同僚の証言・退職証明書などでカバーできる場合あり。
5. 専任技術者の実務経験を証明するポイントまとめ
- 実務経験年数と学歴・職歴を整理する
- 証明力のある書類を複数組み合わせて用意する
- どうしても難しい場合は、他の要件(資格者の配置など)を検討する
6. 行政書士に依頼するメリット
- 複雑な書類作成を代行
- 不足書類の補完方法を提案
- 経験要件に該当するかの無料診断も可能
専任技術者の実務経験証明は、申請内容の中でも特に慎重さが求められる部分です。
お一人で悩む前に、ぜひ行政書士にご相談ください。