■ 特定技能制度とは?
「特定技能」は、即戦力となる外国人材を受け入れるために2019年から始まった新しい在留資格制度です。
特定技能には「1号」と「2号」があり、建設業では特に「1号」の活用が進められています。
■ 建設業で働ける特定技能職種
国土交通省が定めた「特定技能建設分野」には、以下のような職種があります:
- 型枠施工
- 鉄筋施工
- 左官
- 塗装
- 建築大工
- 内装仕上げ施工 など
これらの職種において、日本人と同等の待遇で雇用することが原則です。
■ 受入れ企業が満たすべき条件
外国人材を雇用する企業には、以下の条件が求められます:
- 建設業許可を受けていること
- 社会保険等への加入状況が整っていること
- 外国人に対し日本人と同等以上の報酬を支払うこと
■ 受入れの流れ
特定技能外国人を受け入れるには、以下のステップが必要です:
- 業務・職種の確認
- 該当人材の選定(海外・国内)
- 雇用契約の締結
- 在留資格の申請・認定証明書の取得
- 入国後の生活支援の実施
■ 特定技能外国人への支援とは?
特定技能1号で働く外国人には、日本での円滑な生活と職場定着のために企業による支援の提供が義務づけられています。
支援は「企業自ら実施」または「登録支援機関への委託」のどちらかで行います。これらの支援は単なる手続き支援ではなく、生活や文化面でのサポートも含めた包括的な内容となっています。
■ 義務的支援の内容(全10項目)
法務省令で定められている支援10項目は以下のとおりです:
支援項目 | 内容 | 実施時期 |
---|---|---|
① 事前ガイダンス | 雇用契約や業務内容、日本のルールを説明 | 入国前 or 雇用契約締結前 |
② 出入国時の送迎 | 空港から住居までの送迎など | 入国・帰国時 |
③ 住居確保支援 | 住宅の契約補助、保証人の確保など | 入国直後 |
④ 生活に必要な契約支援 | 銀行口座、携帯電話の契約など | 入国直後 |
⑤ 生活オリエンテーション | ゴミ出しルール、交通、買い物等の生活習慣 | 入国直後 |
⑥ 日本語学習の機会提供 | 学習教材の紹介、日本語教室案内など | 常時(継続支援) |
⑦ 相談・苦情対応 | 生活・労働に関する相談受付体制 | 常時 |
⑧ 日本人との交流促進 | 地域イベントへの参加支援など | 常時 |
⑨ 転職時の支援 | やむを得ない事情で転職する際のサポート | 必要時 |
⑩ 定期的なモニタリング | 勤務状況や生活状況の把握・改善支援 | 定期(月1回等) |
■ 支援の実施方法
上記支援は、受入れ企業が 自社で実施 する場合、すべての項目に対応できる体制が必要です。
多くの企業では、登録支援機関(法務省登録)へ委託することで、専門的な支援を円滑に実施しています。
■ 支援実施状況の報告義務
支援内容については、定期的に出入国在留管理庁への報告が義務付けられています。
また、支援が不適切と判断された場合は、受入れ資格を失うリスクもあるため注意が必要です。
■ 建設特定技能受入計画とは
建設分野で特定技能外国人を雇用する場合、他業種とは異なる「受入れ計画」の認定が必要です。これは国土交通省の管理下で運用されており、許可なく受け入れることはできません。
企業が外国人雇用を検討
↓
建設特定技能受入計画を作成
↓
(一社)建設技能人材機構(JAC)へ提出
↓
審査・認定
↓
出入国在留管理庁への在留資格申請
↓
就労スタート(支援開始)
■ 受入計画とは何か?
「建設特定技能受入計画」は、外国人が建設現場で適正に働けるよう、人材育成・処遇・業務内容・支援体制などを記載した詳細な計画書です。
- 対象職種の明確化(19職種)
- 日本人と同等以上の処遇
- 雇用形態(直接雇用が原則)
- キャリアアップ・スキルアップ計画
- 支援体制の構築
■ 特定技能2号へのステップアップ
特定技能1号での経験を積み、一定の試験に合格することで「特定技能2号」へ移行可能です。
2号では家族帯同も可能になり、長期的な定着が見込まれます。
■ よくあるご質問
Q1:技能実習との違いは?
→ 技能実習は「技能移転」が目的ですが、特定技能は即戦力としての労働が目的です。Q2:どんな人材を雇えるの?
→ 技能評価試験と日本語試験(JLPT N4程度)に合格している方です。