経営事項審査(経審)とは?

公共工事を請け負うために必要な「経営力の証明」

建設業者が国や地方自治体などの公共工事を受注するには、「経営事項審査(けいしん)」の受審が必要です。これは、会社の経営状況や技術力などを客観的に点数化して、公共工事にふさわしい企業であるかどうかを判断する制度です。


経審が必要なケース

  • 公共工事(国・自治体などの発注)を元請けとして請け負う場合
  • ※民間工事だけを行う場合は不要です。

審査の主な内容

  1. 経営状況(Y点)
     財務状況をもとに健全性を評価します。利益や資産などがポイントに。
  2. 経営規模(X点)
     完成工事高や従業員数など、会社の規模に関する評価です。
  3. 技術力(Z点)
     有資格者の人数や技術職員の経験年数などをチェック。
  4. その他の審査項目(W点)
     法令遵守、社会保険の加入状況など、会社としての信頼性を判断。

これらを総合して「総合評定値(P点)」が算出されます。この点数が、入札の参加資格審査などに使われます


経審は個人事業主も対象です

個人事業主の方へ

公共工事への参加を目指す場合、法人でなくても経審の受審が可能です。ただし、決算書類の整備や経営状況分析の申請など、法人と同様にしっかりとした準備が求められます。
一人親方・少人数体制でも、有資格者の在籍や施工実績などをアピール材料として活かすことができます

「規模が小さいから無理」とあきらめず、まずはお気軽にご相談ください。


法人の方へ

従業員や技術者を複数抱える法人の場合、企業としての体制・技術力・財務基盤を評価されるポイントが多くあります。特に、公共工事の入札においては、総合評定値(P点)の高さが重要な判断材料になります。
経審を受けることで、企業としての信頼性を対外的にアピールすることも可能です。

経審の結果を活用し、営業や受注拡大に役立てましょう。


経審の流れ(簡易版)

  1. 事前準備(決算書など必要書類の整備)
  2. 経営状況分析の申請(分析機関へ)
  3. 経営事項審査の申請(都道府県などへ)
  4. 審査結果の通知(総合評定値の通知)

総合評定値 点数の構成(5つの主要要素)

経審の点数は、以下の5つの要素で構成されます:

項目名内容最大点数(目安)
X1点完成工事高(売上)約2,000点
X2点自己資本・利益・負債比率など約1,200点
Y点技術職員の人数や資格約1,200点
Z点社会性等(法令遵守、雇用状況など)約1,200点
W点経営状況評点(X2を計算して出す)(X2点を元に算出)
総合評定値(P点)上記すべてを計算した総合点数上限約2,000点

計算イメージ

以下は、あくまでイメージです:

  1. X1点:完成工事高  → 年間どれくらいの工事をしているか。たくさん施工していれば高得点。
  2. X2点:財務内容  → 自己資本が多い、利益がある、借金が少ないと高得点。
  3. Y点:技術力  → 監理技術者や一級施工管理技士が多いと高得点。
  4. Z点:社会性  → 労働保険加入、障がい者雇用、法令違反がないなどで加点される。
  5. W点:経営状況評点  → 財務諸表(貸借対照表・損益計算書)から出る経営の健全性の点数。
  6. P点:総合評定値  → 上記の点数を計算式で統合したもので、入札参加の基準になります。

どれが重要?

  • **X1(売上)とY(技術職員)**が特に大きなウエイトを占めます。
  • ただし、W点(経営状況)やZ点(社会性)も積み重ねで差が出ます。

例:総合評定値(P点)の計算式(簡略版)

実際には次のような数式で計算されます(かなり省略した形):

plaintextコピーする編集するP点 =(X1点 × 0.25)+(X2点 × 0.15)+(Y点 × 0.3)+(Z点 × 0.3)

※ 業種や申請年度によって少し変わることがあります。

有効期間

経営事項審査(経審)の有効期限は、「審査基準日から1年7か月」です。
「審査基準日」とは、経審の申請時において、決算日を基準としている日付です。通常は直近の決算日になります。

有効期限が「1年7か月(19か月)」であるため、それを過ぎると経審の結果が無効となり、公共工事の入札参加資格審査(入札参加申請)の際に経審を受け直す必要があります。

実務上の注意点:

有効期限が切れてしまうと、公共工事の指名・入札に参加できなくなります。

入札参加資格申請の受付期間に合わせて、早めに経審を受け直す必要があります。


まとめ

経審は、公共工事を請け負うための「企業の健康診断」のようなものです。個人でも法人でも、公共工事を目指すなら避けて通れません。
手続きには専門的な知識や書類の整備が必要になるため、行政書士などの専門家に相談するのがおすすめです。

経営事項審査申請の手引き(京都府)

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行政書士の役割

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