
事業者に求められる対応
- 標準労務費の確認および見積りへの反映
- 低すぎる見積りの慣例の是正
- 資材の供給不足や高騰への対策に関するリスク情報の提供
- 請負代金を変更する際の金額の算定方法の追加
- 著しく短い工期での施工を受注する慣例の是正
- 現場管理におけるICTの活用 など
建設業法等の改正の背景
■課題
建設業は他の産業よりも賃金が低く、就労時間も長いため、担い手の確保が困難。
■改正目的
改正は、建設業の担い手を確保するため、労働者の処遇改善・働き方改革・生産性向上を促す。
🔵 労働者の処遇改善に向けた措置
● 努力義務の明確化
- 建設業者は、技能者の処遇を改善するための努力義務が明記されました。
- 国・都道府県は、その取り組みを調査・公表します。
● 「労務費の基準」の導入
- 中央建設業審議会が「労務費の基準」を定めることが可能に。
- この基準を著しく下回る契約は違法となる可能性があります。
● 著しく低い請負代金の禁止
- 「適正な原価」に満たない請負契約は締結してはならないとされました。
- 下請契約においても、同様の保護が拡大されます。
🔵 資材価格高騰・供給制約への対応
● 「おそれ情報」の通知義務化
- 資材価格の高騰や供給制約が予想される段階で、
- 受注者 → 注文者に情報を通知する義務が生じます。
● 請負代金の変更協議制度の強化
- 実際に高騰した場合、受注者は代金変更を申し出可能。
- 注文者は誠実に協議に応じる努力義務があります。
🔵 働き方改革の推進
● 著しく短い工期の契約を禁止
- 長時間労働の要因となる無理な短工期の契約は締結禁止に。
● 建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用促進
- 技能者の処遇改善やスキル評価にCCUSの活用が努力義務となります。
🔵 生産性向上のためのデジタル化対応
● ICT活用による規制緩和
- 監理技術者の専任要件や施工体制台帳の作成等について、ICT活用を条件に緩和されます。
- リモート管理や電子的な文書提出などが対象です。
● ICTガイドラインの策定
- 国がICT活用のための指針(ガイドライン)を整備します。
- 発注者・受注者に対し、その活用を促す方向性が明示されました。
🔵 公共工事の品質確保と適正化
● 多年度契約や価格変動対応の推進
- 中長期的視点での契約(複数年度契約)や、
- 価格変動条項の活用が奨励され、発注側にも柔軟な対応が求められます。
🔵 施行時期(段階的)
項目 | 施行時期(予定) |
---|---|
処遇改善の努力義務化など | 公布後3か月以内(2024年秋頃) |
労務費の基準制度・短工期契約の禁止など | 公布後1年6か月以内(2025年秋頃) |
ICT活用による規制緩和等 | 公布後6か月以内(2025年春頃) |
2024年6月14日に公布された「建設業法等の改正」(令和6年法律第49号)は、建設業界の持続可能性と生産性向上を目的とした大規模な法改正です。この改正は、2025年にかけて段階的に施行されます。