「京の台所」として何百年もかけて育まれてきた京都の市場文化は、今、目の前で崩壊しています。インバウンド需要に振り回され、地元の人々が大切にしてきた日常の風景は、ただの“観光地”へと成り下がりました。そこにあるのは、食べ歩き用に加工された似たり寄ったりのB級グルメと、文化的背景を無視した土産物の山。かつてあった職人の技や季節の移ろいを映す食材の姿は、もはや見当たりません。
何より腹立たしいのは、それを許した行政と事業者の無責任な姿勢です。目先の利益を追い、真に守るべき文化の本質に背を向けた結果がこれです。観光客を呼び込むこと自体が悪なのではありません。しかし、地域の歴史と生活を犠牲にしてまで得た一時の経済効果に、いったいどれだけの意味があるのでしょうか。
「京の台所」は、京都人の誇りでした。今の姿は、その誇りを踏みにじる暴力です。私たちは声を上げなければなりません。今ここで、この愚行に終止符を打たなければ、本物の京都は二度と戻ってこないのです。
京都新聞も、京都府・京都市も沈黙を守ったままです。
これは京都にとって、新幹線問題以上に深刻な、京都文化の命が絶たれかねないレベルの環境破壊ではないでしょうか。







