「京都らしさ、どこへ行った?」――変わりゆく新京極・寺町京極

昔の新京極・寺町京極には、京都の暮らしと文化が息づいていた。地元の人々が日常的に行き交い、和菓子屋や履物店、古本屋など、個性豊かな商店が軒を連ねていた通りは、まさに「京都らしさ」が滲み出る場所であった。そこには、観光地でありながらも地元の生活が溶け込んだ、穏やかで温かな空気が流れていた。

しかし今、かつての面影は急速に薄れつつある。観光客をターゲットにした画一的な店舗が増え、地元住民の足が遠のいたこの通りは、どこにでもある「観光消費空間」と化してしまった。インバウンド需要に依存する形で進むこの変化は、短期的な利益を追うあまり、地域の文化的深みや多様性を犠牲にしているようにも感じられる。

新しい流れを全て否定するつもりはないが、かつてあった地に足の着いた賑わい、顔の見える商いこそが、この街の本当の魅力だったのではないだろうか。便利さと引き換えに失われたものの大きさに、いま一度目を向けるべき時が来ている。

撮影機材:Ricoh GR

撮影者プロフィール

松谷 大慶
京都写真家

1998年シンガポール駐在員時代に写真を始め、以来20年以上。京都をこよなく愛し、海外でも作品を展示。国際的視点で活動する写真家。光と影が織りなす瞬間に心を寄せ、普遍的な美の記録に取り組んでいます。

活動の中心は、インバウンド観光の急増などで悪影響を及ぼしている京都の景観を記録保存することに焦点を当てています。風景や人物などジャンルを越えて、被写体の「らしさ」とその瞬間の空気感を大切にしています。訪日外国人向けの撮影や、国内外での展示、文化交流事業への参加など、写真を通じた国際的な表現活動にも力を入れています。


2008年日本写真家協会(JPS)展 入選(プロ写真家への登竜門)

入選作品「祇園雪花」

主な活動内容
・風景撮影
・観光地や伝統文化の撮影
・ポートレート撮影
・商品撮影
・展覧会への参加

使用機材
Canon EOS R6 / その他レンズ各種

展示・掲載実績(一例)
・海外展示:米国 国際交流基金ロサンゼルス日本文化センター主催イベント /在ニューヨーク日本国総領事館主催桜祭り

・集英社 女性誌「éclat」2012年4月号「京都・奈良 桜の絶景めぐり」に掲載 

・パーフェクトポーションズ フォーシーズンズのカタログに掲載 

・海外向けインバウンドプロモーション用写真提供 

写真と並行して、外国人の方々のビザ取得をサポートする行政書士としての仕事にも取り組んでいます。

文化の違い、言葉の壁、不安や期待――
そうした境界に立ち会う仕事は、私の視野を広げ、写真に新たな視点をもたらしてくれます。

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