令和7年の猛暑の夏、祇園祭の鉾建て始まる

祇園祭の由来は平安時代に遡る。

869年、平安京で疫病が大流行。この災いを鎮めるため、朝廷の命により「祇園御霊会」が行われたのが始まり。

当初は66本の鉾を立てて当時の国数を表し、御霊を鎮める儀式が行われたと伝えられている。

現在、京都で猛威を振るっている「疾病」―それは、中国人投資家による景観と秩序の破壊である。今回の「疾病」は、旅館業の許認可や外国人起業支援に関わる組織や人々によって引き起こされた、人災にほかならない。

千年の都を護ってきた祇園祭に、この現代の災厄を鎮める力があると信じたい。

The origin of the Gion Festival dates back to the Heian period.

In the year 869, a devastating epidemic swept through Heian-kyo (present-day Kyoto). To quell this calamity, the imperial court ordered a ritual known as the Gion Goryoe. This marked the beginning of the Gion Festival.

At that time, it is said that 66 halberds (hoko) were erected to represent the number of provinces in Japan, as part of a ceremony to appease the spirits.

Today, a new “disease” is wreaking havoc in Kyoto — the destruction of its landscape and social order by Chinese investors. This modern disaster is no natural plague; it is a man-made one, brought about by individuals and organizations involved in the licensing of lodging businesses and the support of foreign entrepreneurs.

I want to believe that the Gion Festival, which has protected the thousand-year capital for centuries, still holds the power to calm even this contemporary scourge.

スナップ撮影に使ったのは RICOH GR III。
手のひらサイズの相棒は、今回も街の空気をしっかり捉えてくれた。

京都のフォトグラファーたちは、長年にわたり、京都の景観の変化をカメラを通して見つめてきた生き証人です。
私自身も、四季折々の美しい風景や伝統的な街並みが、年を追うごとに確実に減少していることを痛感しています。

観光や経済の発展も大切ですが、それと引き換えに「京都らしさ」が失われてしまっては、本末転倒です。
未来の世代に、誇るべき「京都」を残すために、景観と地域の秩序を守る取り組みを、今こそ強化していただきたいと強く願います。

Photographers in Kyoto have long been living witnesses to the changes in the city’s landscape through their lenses.
I myself deeply feel that the beautiful scenery and traditional streetscapes, which should be cherished as seasonal subjects, are steadily disappearing year by year.

While economic growth and tourism development are important, it would be a grave mistake if these come at the cost of losing the unique character of Kyoto.
To preserve the Kyoto that we can be proud of for future generations, I earnestly urge you to strengthen efforts to protect the city’s landscape and community order.

撮影者プロフィール

京都写真家 武蔵

1998年シンガポール駐在員時代に写真を始め、以来20年以上。京都をこよなく愛し、海外でも作品を展示。国際的視点で活動する写真家。光と影が織りなす瞬間に心を寄せ、普遍的な美の記録に取り組んでいます。

活動の中心は、インバウンド観光の急増などで悪影響を及ぼしている京都の景観を記録保存することに焦点を当てています。風景や人物などジャンルを越えて、被写体の「らしさ」とその瞬間の空気感を大切にしています。訪日外国人向けの撮影や、国内外での展示、文化交流事業への参加など、写真を通じた国際的な表現活動にも力を入れています。


2008年日本写真家協会(JPS)展 入選(プロ写真家への登竜門)

入選作品「祇園雪花」

主な活動内容
・風景撮影
・観光地や伝統文化の撮影
・ポートレート撮影
・商品撮影
・展覧会への参加

使用機材
Canon EOS R6 / その他レンズ各種

展示・掲載実績(一例)
・海外展示:米国 国際交流基金ロサンゼルス日本文化センター主催イベント /在ニューヨーク日本国総領事館主催桜祭り

・集英社 女性誌「éclat」2012年4月号「京都・奈良 桜の絶景めぐり」に掲載 

・パーフェクトポーションズ フォーシーズンズのカタログに掲載 

・海外向けインバウンドプロモーション用写真提供 

京都を撮り続けて20年以上。

光と影の中にたたずむ町家の軒先、静けさに包まれた早朝の石畳、そして暮らしの匂いが残る裏路地の風景。

観光パンフレットに載る“京都らしさ”ではなく、
そこに生きる人の営みと、時を重ねてきた空気―

そうした“ほんまもんの京都”を記録し、伝えていくことが、私の写真家としての使命。

しかし、その京都が、いま静かに壊されつつあります。

京都の町家は、風景ではなく生活そのもの

簡易宿所という名のビジネスによって、“暮らしの記憶”ごと売り飛ばされていく。

観光は京都を支える大きな産業です。それは間違いありません。
しかし、その観光が、「住む人のための京都」から、「見せ物としての京都」へと変質させてしまったのなら、それはもはや文化破壊です。

私が撮りたいのは、“観光地”ではない。
人が暮らし、集い、語らう「生きた京都」。

私はこれからも、京都を撮り続けます。
まだ残された“ほんまもんの京都”を、記録し、伝えていくために。
そして願わくば、「観光よりも、暮らしが主役のまち」に戻れるよう、少しでも力になりたい。

京都は、見るものではなく、生きる場所。

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