祇園祭・後祭 曳き初めの日

2025年7月20日 午後3時 気温 35.9度

鷹山

7月18日、鉾の上部に飾られる「真松」が、根元から折れるトラブルがあった。

「応仁の乱以前より「鷹つかい山」として巡行した山鉾のひとつである。
江戸時代に曳山となり、天明の大火で罹災、寛政年間に現在の「北観音山・南観音山」と同様の大屋根を持つ曳山として復活したが、文政年間に大風雨により大破し、巡行を取りやめた。その後復活を果たせず、幕末の蛤御門の変にて大半の部材が焼失。ただ、人形3体は焼失を免れ、後祭の宵山に居祭として、木彫の「鷹」「犬」と共にお町内にてお飾りを続行。復興を目指して令和元年(2019)より唐櫃巡行(からびつじゅんこう)に加わり、令和4年(2022)、196年ぶりに巡行復帰を果たした。」

北観音山

「通称は「上り観音」。御神体は楊柳観音像と韋駄天立像。創建は文和2年(1353)と記録が残っており、応仁の乱の時代から隣町の南観音山とは1年交代で山を出していたといわれる。」

南観音山

「「下り観音」とも呼ばれ、かつては後の祭の殿(しんがり)をつとめていた。平成24年(2012)の巡行順変更に伴い、29番目(後祭では6番目)に。その後令和5年(2023)からは隔年交代で北観音山と後祭の2番目/6番目を進むことになった。」

大船鉾

「前祭の船鉾が「出陣」を表すのに対し、後祭の大船鉾は戦を終えて戻る「凱旋」の場面を表す。応仁の乱以前から存在する歴史の古い鉾で、くじ取らずで後祭の殿(しんがり)を務める。船鉾の神功皇后は鎧姿なのに対し、大船鉾の神功皇后は戦を終えているため狩衣姿となっている。幾たびの火災を免れた神面は、江戸時代以前の作といわれる貴重なもの。
舳先の飾りは大金幣と龍頭の二つがあり、1年毎交互に使用している。

天明の大火(1788)年に御神体である神功皇后の神面を残して焼失、その後再興されたものの、幕末の蛤御門の変(1864)による火災で鉾本体が焼失して以降は休み鉾となっていた。2000年代以降にお囃子や飾り席が復活し、宵山の際に一般に公開するようになり、2011年には唐櫃(からひつ)に御神体を収めて巡行に参加。2014年には鉾の再建が完了、150年ぶりに巡行に本格復帰を果たした。」

撮影者プロフィール

京都写真家 武蔵

1998年シンガポール駐在員時代に写真を始め、以来20年以上。京都をこよなく愛し、海外でも作品を展示。国際的視点で活動する写真家。光と影が織りなす瞬間に心を寄せ、普遍的な美の記録に取り組んでいます。

活動の中心は、インバウンド観光の急増などで悪影響を及ぼしている京都の景観を記録保存することに焦点を当てています。風景や人物などジャンルを越えて、被写体の「らしさ」とその瞬間の空気感を大切にしています。訪日外国人向けの撮影や、国内外での展示、文化交流事業への参加など、写真を通じた国際的な表現活動にも力を入れています。


2008年日本写真家協会(JPS)展 入選(プロ写真家への登竜門)

入選作品「祇園雪花」

主な活動内容
・風景撮影
・観光地や伝統文化の撮影
・ポートレート撮影
・商品撮影
・展覧会への参加

使用機材
Canon EOS R6 / その他レンズ各種

展示・掲載実績(一例)
・海外展示:米国 国際交流基金ロサンゼルス日本文化センター主催イベント /在ニューヨーク日本国総領事館主催桜祭り

・集英社 女性誌「éclat」2012年4月号「京都・奈良 桜の絶景めぐり」に掲載 

・パーフェクトポーションズ フォーシーズンズのカタログに掲載 

・海外向けインバウンドプロモーション用写真提供 

京都を撮り続けて20年以上。

光と影の中にたたずむ町家の軒先、静けさに包まれた早朝の石畳、そして暮らしの匂いが残る裏路地の風景。

観光パンフレットに載る“京都らしさ”ではなく、
そこに生きる人の営みと、時を重ねてきた空気―

そうした“ほんまもんの京都”を記録し、伝えていくことが、私の写真家としての使命。

しかし、その京都が、いま静かに壊されつつあります。

京都の町家は、風景ではなく生活そのもの

簡易宿所という名のビジネスによって、“暮らしの記憶”ごと売り飛ばされていく。

観光は京都を支える大きな産業です。それは間違いありません。
しかし、その観光が、「住む人のための京都」から、「見せ物としての京都」へと変質させてしまったのなら、それはもはや文化破壊です。

私が撮りたいのは、“観光地”ではない。
人が暮らし、集い、語らう「生きた京都」。

私はこれからも、京都を撮り続けます。
まだ残された“ほんまもんの京都”を、記録し、伝えていくために。
そして願わくば、「観光よりも、暮らしが主役のまち」に戻れるよう、少しでも力になりたい。

京都は、見るものではなく、生きる場所。

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