京都の景観は、静かに壊れていく。――“国際業務”の名の下に、現実を直視しない行政書士会では、守れるはずもない。

外国人起業支援・経営管理ビザ申請支援の研修改革案


行政書士が地域社会における調和の担い手として、その本来の役割を果たしていくために、「京都を護る」という視点を軸とした研修の再構築が求められています。「外国人起業支援」および「経営・管理ビザ申請支援」に関する研修の在り方について、実務と社会的責任の両面から提案します。


京都府行政書士会国際業務部においては、地域住民の意識とかけ離れた研修が実施されることのないよう、強くお願いしたい。研修内容が現場感覚や市民の声と乖離すれば、行政書士への信頼そのものが揺らぎかねません。

■ 1.提案の趣旨

近年、京都市内における外国人による起業・不動産取得・観光関連ビジネスの増加により、地域景観の破壊や住環境の悪化、地域コミュニティとの摩擦など、深刻な社会的課題が表面化しております。

行政書士は在留資格申請・法人設立・許認可取得といった起業支援の第一線に立つ立場にあり、その職責は単なる手続き代行ではなく、「地域との調和を前提とした適切な起業のフィルター役」としての役割へと進化すべき局面を迎えています。

本提案書では、京都の景観・秩序を護る観点から、外国人の「経営・管理」ビザ申請支援や起業支援を行う行政書士を対象とした研修の実施を提案いたします。

■ 2.研修の目的

地域景観・住環境・用途規制・条例等を踏まえた、調和的起業支援の実務能力の養成

外国人支援における「法的適格性」+「地域受容性」の両立に対する意識の醸成

京都ならではの問題に即した支援体制の整備と、行政との円滑な連携の促進

■ 3.対象者

外国人の起業支援、経営・管理ビザ申請支援に関与する行政書士

行政書士会に所属する若手・中堅の会員(新たな関与を検討中の者を含む)

■ 4.カリキュラム案(1日集中型 or 2日間構成)


第1講|外国人起業と京都の地域秩序
京都市の景観・用途・住環境問題の基礎理解

行政・地域住民との摩擦の背景と現状

行政書士が果たすべき社会的責任と役割

第2講|経営・管理ビザ申請支援の実務と注意点
制度の要点と審査傾向の変化

事業計画書チェックにおける「形式 vs 実質」

不動産選定と景観・用途規制の相互関係

第3講|ケーススタディ:地域に拒否された起業の実例分析
民泊・飲食業等による失敗事例の分析

法的には通るが地域に受け入れられないケースへの対応策

グループワークによる支援方針の立案

第4講|実務演習:地域と調和する支援書類の作成
起業計画書・地域説明資料の作成ワーク

実務上の言葉遣い、申請時の配慮点の共有

審査官・行政窓口担当者の目線を踏まえた添付資料の工夫

■ 5.研修後のフォローアップ案

参加者による「地域調和型起業支援宣言」署名

「地域調和型外国人起業支援ネットワーク」設立・運用

会内部報、ウェブサイト等を通じた支援事例の共有と発信

■ 6.期待される効果

無秩序な起業支援の防止と、行政書士会全体の社会的信頼向上

行政(京都市、府)・地域団体からの連携依頼の増加

「京都らしい起業」「文化を壊さない起業」への誘導と実現

他士業との差別化と付加価値の高い実務展開への道筋

■ 7.今後の展開案

行政(京都市都市計画局、観光政策課等)・町内会・景観保護団体との連携研修への発展

外国人向けの「京都での起業と地域調和」セミナー(行政書士会主催)への展開

行政書士会の対外的イメージ刷新と、文化都市京都を守る専門家団体としての再定義

■ 8.結語

行政書士が単なる「手続き屋」から脱皮し、地域社会の調和を担う真のパートナーとして進化するためには、今こそ、「京都を護る」という観点を研修の中核に据える必要があります。

本研修を通じて、外国人起業支援のあるべき姿を再確認し、文化・景観・秩序を次世代に継承できる持続可能な支援体制を築いていくことを提案いたします。