近年、「経営・管理ビザ」を活用した中国人投資家の日本進出が急増する中、京都でも中国資本による企業設立が後を絶ちません。
私自身、行政書士として多くの外国人起業支援に携わってきましたが、その中で特に深刻に感じているのが、京都における景観・秩序の崩壊リスクです。
国は外国人起業を促進する方向に舵を切っていますが、京都には京都の現実があります。
歴史的な街並みと繊細な地域コミュニティによって成り立っている京都にとって、無分別な外国人起業受け入れは、都市の根幹を揺るがしかねません。
そこで、以下のような「独自の厳格規制」の導入を提言します。
1.景観保全・地域調和を前提とした審査制度の導入
京都における事業展開は、景観・文化との調和が不可欠です。
- 歴史的街並みや景観地区での起業に際しては、
外観・看板・内装デザインの設計書を提出させ、景観条例との整合性を審査対象に含めるべきです。 - また、周辺住民や地域自治会との事前協議を義務付ける制度を整備すべきです。
これにより、地域の声を無視した突然の開業や軋轢を防ぐことができます。
2.資金源と出資者の透明性確認の徹底
表面上は正当な投資であっても、
その資金の出所が不透明なケースや、母国での信用リスクが高い事業者も存在します。
- 京都独自に、資金の送金経路・出資者の本国での信用情報・訴訟歴等を精査する仕組みを導入すべきです。
- ビザ申請時に提出される履歴書や事業計画書だけでなく、
本国の営業許可証、納税証明書、取引履歴などの実体的資料を提出させる基準づくりが求められます。
3.形式的な企業設立の排除――「偽装起業」対策の強化
「経営・管理ビザ」を得るためだけに形ばかりの会社を作り、実質的な活動を行わない例が散見されます。
- これを防ぐには、オフィス・店舗の実在確認だけでなく、
仕入計画・販売経路・営業実績の裏付けとなる資料の提出を義務化すべきです。 - さらに、経営管理者の実際の居住・常駐義務を制度化し、
「名義社長」や日本にいない“幽霊経営者”の存在を防ぐ必要があります。
4.行政・専門士業との連携による中立的な審査体制の構築
地域専門家(行政書士・税理士・司法書士など)や自治体との連携体制が不可欠です。
- たとえば、「京都府外国人起業審査協議会(仮称)」のような、
中立かつ専門的な視点から案件を審査・助言する協議体の設置が考えられます。
5.「地域ガイドライン」の制定と面談制度の導入
国の制度にただ従うだけでは、京都の特殊性は守れません。
- 京都独自に「外国人起業受入れガイドライン(景観・文化編)」を策定し、
事前面談制度や地域説明会の実施を義務付けることで、
事業者に対する京都の価値観の共有と理解を深めることができます。
※本記事の内容は、特定の国籍や事業者を一方的に排除・否定するものではなく、
地域との調和と制度の健全な運用を求めるものです。誤解なきようお願いいたします。
✅ 京都における中国人起業案件への「独自の厳格規制」チェックリスト
~行政書士・行政機関・支援機関が備えるべき視点~
🏙 景観・地域調和 編
チェック項目 | 内容 | 必須度 |
---|---|---|
✅ 景観配慮の設計書提出 | 看板・外観・内装デザインが景観条例に適合しているか | ★★★ |
✅ 地域住民との事前協議 | 自治会や商店街との説明・合意を得ているか | ★★☆ |
✅ 出店場所の立地審査 | 歴史的建造物地区・文化保全地域との調和性確認 | ★★★ |
💰 資金の透明性 編
チェック項目 | 内容 | 必須度 |
---|---|---|
✅ 出資金の送金経路確認 | 海外からの送金が合法で透明な資金であるか | ★★★ |
✅ 出資者の身元調査 | 出資者に訴訟歴・ブラックリスト登録がないか | ★★☆ |
✅ 母国での経営実績証明 | 営業許可証・納税証明など公式文書による裏付け | ★★★ |
🏢 事業の実体性 編
チェック項目 | 内容 | 必須度 |
---|---|---|
✅ 実在性の確認 | 実際にオフィス・店舗が開設され、稼働準備がされているか | ★★★ |
✅ 仕入・販売ルートの明示 | 単なる名義上の起業ではなく、流通や営業活動が実体的か | ★★☆ |
✅ 経営者の日本常駐義務 | 管理ビザ取得者本人が現地で常駐・指揮しているか | ★★★ |
🧩 制度・審査体制 編
チェック項目 | 内容 | 必須度 |
---|---|---|
✅ 行政書士・税理士等の関与 | 第三者の専門家が事業の適正性を確認しているか | ★★★ |
✅ 京都独自の審査協議会設置 | 京都府・市・士業・地域団体による協議体の設立 | ★★☆ |
✅ 事前面談制度 | 起業者に対し京都の文化・規制を説明し、理解させているか | ★★☆ |
📝 読者へのメッセージ
✅ 本チェックリストは、中国人起業者を排除することが目的ではありません。
✅ 京都の文化・景観・秩序との共生を前提とした「持続可能な外国人起業支援」の実現が目的です。
✅ 行政書士をはじめとする支援者が、単なる形式的な申請支援から一歩踏み込んだ責任ある判断基準を持つことが、これからの時代に求められています。