外国人起業家支援~京都府の取り組み~

外国人起業家支援

弊所の外国人起業家支援の取り組みと課題について、6月京都府議会を前にニノ湯自民党府議に情報提供させていただきました。

これを受けて、二之湯府議は「京都府の国際化」の中で外国人起業家への対応について西脇知事に質問されました。下記は公開された会議録からの転載です。

ニノ湯府議

そこで次に、日本語が不得手な外国人起業家への対応についてお伺いいたします。京都府の総合計画中の基本計画におけるビジョンの一つ「未来を拓く京都産業の実現」の中に、世界に伍するスタートアップエコシステムの展開という重点分野があります。その実現のために「外国人の起業におけるビザの壁、言葉の壁、人脈の壁を克服する」と明記されており、具体的には、「4年間で外国人スタートアップ100社創出を目指す」とか、住まい・医療・教育・コミュニティーの形成など「英語で暮らせるまちづくり」等の意欲的な目標が掲げられております。

令和5年度予算にも、グローバルスタートアップエコシステム構築事業費が新規に計上され、海外人材の生活から起業、ビジネス展開まで一貫した支援をすると記されております。これらの目標達成のためには、独り京都府の努力だけではなく、民間事業者や地域社会の理解を得る努力が必要です。そのためには、多くの府民にこの目標が共有されることが不可欠ですが、そのために京都府はどんな努力をしておられますか。

また、生活から起業、ビジネス展開までの一貫支援となれば、不動産業界、医療界、教育界、地域社会など様々な方々と協働することが不可欠ですが、それらの方々とどのような具体的な意思疎通の場を持っておられますか。

さらには、ビジネスをする大前提として、金融機関の理解と協力が必要不可欠ですが、外国人起業家にとっては、しっかりとした事業計画があっても口座開設は厳しいという現実があると聞きます。これまで京都府は、金融機関とどういう協議をし、どんな合意を得ておられますか。

 以上について答弁を求めます。

西脇京都府知事

日本語が不得手な外国人起業家への対応についてでございます。京都産業の国際競争力を持続・発展させるためには、国外からも多様な高度人材を集め、社会課題解決を目指すスタートアップ企業の育成を図ることが重要だと考えております。

京都府では、国の各種支援策を活用するため、「世界に伍するスタートアップ拠点」にオール京都体制で応募し、選定されました。また、令和2年4月からは、外国人が起業するために必要な在留資格を認めるスタートアップビザ制度を導入し、この間、16人の方がビザを取得しておられます。

外国人起業家の課題としては、出資金を確保するためのビザ取得要件が高く、また1年で更新が必要となる「ビザの壁」、ビジネスや生活の様々な場面で日本語能力が求められる「言葉の壁」、相談相手や情報源が少なく最適な協力者の情報が得づらい「人脈の壁」が指摘されており、外国人起業家を増やすためには、生活からビジネス展開までの一貫支援を行いますとともに、英語でコミュニケーションが取れる環境を整備していく必要がございます。

このため、外国人起業家の生活・ビジネスをワンストップで支援する「京都インターナショナルスタートアップセンター」を7月の設立を目指して準備を進めております。

また、英語で暮らせるまちづくりに向け、産業団体や国際交流団体などで構成するスタートアップ支援ネットワークを発足予定であり、地域や商店街の行事への外国人起業家の参加を支援するなど、地元住民との交流の中で相互理解を促進してまいりたいと考えております。今後、センターや支援ネットワークの活動や議論を踏まえ、外国人起業家が活動しやすい環境を整えるなど、支援制度の拡充を図ってまいりたいと考えております。

なお、議員御指摘の金融機関への対応につきましては、現状では、京都府やジェトロの支援により問題なく口座を開設されておりますが、長期の借入れが難しいなどの課題もございますから、一人一人に寄り添って金融機関と対応を協議してまいりたいと考えております。今後とも、世界から外国人起業家が集まり、安心して活躍できる起業環境の構築に取り組んでまいりたいと考えております。

ニノ湯府議

外国人起業家の支援についてですけれども、最後、知事が口座開設については問題なく進んでいるというような御答弁でしたけれども、私が聞いたところでは、しっかりと事業計画もあるところでなかなか口座開設が難しいというところがあるみたいです。京都府と京都の地域金融機関がしっかりとそういったことについて一定の合意を得て、もちろんこういう問題はマネーロンダリング等の難しいことがあるというのは承知しておりますけれども、もう一度その実態を確認していただきまして、さらに多くの意欲ある方が日本で起業できるというような環境を金融機関とともにつくっていただきますことを要望いたしたいと思います。

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