「経営・管理」ビザを取得して、日本で会社を設立する外国人が増えています。特に中国をはじめとするアジア圏からの申請が多く、出入国在留管理庁(入管)でも審査が年々厳格化しています。
最近では、「資本金500万円」という現行基準では不十分ではないか、という議論も一部で出始めています。
では、海外ではどれくらいの資本金が必要とされているのでしょうか?
本記事では、世界各国のビザ制度と資本金要件を比較しながら、今後日本で起こりうる動向についてやさしく解説します。
1.日本の現状:資本金500万円とは?
- 日本では、外国人が「経営・管理」ビザを取得するには、以下のいずれかが必要です:
- 資本金500万円以上を出資して会社を設立
- 常勤の職員を2人以上雇用
- この500万円は、法人設立の最低資本金としては比較的ハードルが低い方です。
- しかし実際には、事務所・人件費・設備などを考えると、ビジネスを持続するには十分とは言えないケースもあります。

2.資本金2,000万円以上が求められる国・地域とは?
国・地域 | 必要資本金の目安 | 特記事項 |
---|---|---|
マレーシア | 約1,600万〜3,200万円 | 外資100%の場合、小売・飲食業等 |
フィリピン | 約3,100万円 | 外資比率が高い事業に必要 |
ベトナム | 約800万〜1,600万円(実質2,000万以上) | 業種により変動あり |
中国 | 約4,400万円(特定業種) | 教育・コンサル業等で高額要求 |
シンガポール | 実質3,000万円超推奨 | 高スケールスタートアップ向けEntrePass制度 |
✍️ ポイント:
多くの国で、外資系企業に対しては数千万単位の資本金を求める例が少なくありません。
日本の基準は比較的緩やかだと考えられています。
3.なぜ資本金要件の引き上げが議論されているのか?
- ビザ目的での「名ばかり会社」や「形式的オフィス」の増加
- 実態の伴わない短命な企業の乱立
- 公共サービス・地域経済への還元が乏しいケースの増加
- 他国との整合性(グローバルスタンダードとの乖離)
4.今後の可能性と注意点
- 将来的には、日本でも「資本金1,000万円以上」「2,000万円以上」のような制度改正があり得る可能性があります。
- ただし、金額だけでなく「ビジネスの実態」「経営者の経験」「雇用計画」などの総合評価型の審査が重視される方向です。
- 資本金の高さがすべてではなく、「しっかり準備された事業計画書と経営の覚悟」が成功のカギになります。