日本には「国際」を冠する組織が数多く存在しますが、その多くが「内向き」であり、真の意味での国際化とは程遠い現状があります。私自身、士業として国際業務に携わる中で、日本が「国際化」という言葉をどのように捉え、実践しているのかを深く考える機会を持ちました。
私の経験が教えてくれた「真の国際化」
私は、地方公務員としては異色の人生を歩んできました。本来、公務員を志望していたわけではありません。しかし、大学卒業後に通訳学校に通っていた頃、下宿先の大家さんから公務員の道を勧められたことをきっかけに、京都府の上級行政職の試験を受験することになりました。この思いがけない選択が、私の人生を大きく変える転機となりました。
京都府に入庁してからは、英語教育や国際業務に携わり、日本と海外を結ぶさまざまな活動に従事しました。その中でも特に印象深いのは、日本政府のシンガポール駐在員として派遣された経験です。現地では、政府関係者や地域社会と協力しながら、多文化共生の重要性を実感する日々を送りました。
この経験を通じて学んだのは、国際交流や国際協力は単なる情報発信や形式的な交流ではないということです。お互いの文化を正しく理解し、信頼関係を築く中でこそ、本当の意味での交流が成立するのだと深く実感しました。この教訓は、私のその後の人生やキャリアの礎となっています。
日本の「内向き」な現状とその背景
多くの組織では、「国際」という看板を掲げながらも、実際には語学力や異文化理解を持たない人材が配置されていることがあります。その結果、活動の多くが国内向けの形式的な取り組みに留まり、真の国際交流や協力には繋がっていません。
例えば、海外のパートナーと連携したプロジェクトを進める際、言語や文化の壁を乗り越えることができず、形骸化してしまった事例を目にしたことがあります。このような問題を解決するためには、単なる制度や枠組みの見直しだけでなく、国際的な視点を持つ人材の育成と適切な配置が不可欠です。
真の国際化を目指すために必要なこと
日本が真の国際化を達成するためには、次のような具体的な取り組みが必要です。
- 国際経験と語学力を持つ人材の積極的な採用・配置
「国際」を冠する組織には、実際に国際業務の経験があり、語学力と異文化理解力を備えた人材を配置することが求められます。形式的な配置ではなく、実質的な役割を担える人材の活用が鍵となります。 - 教育・研修プログラムの充実
国際業務に従事する職員を対象に、語学や異文化理解を強化するための研修プログラムを導入し、国際的な感覚を養う環境を整える必要があります。 - 官民連携による具体的なプロジェクトの推進
国際的な視点を持つ企業や団体と連携し、地域や分野を超えた実践的なプロジェクトを通じて、国際化の成果を可視化する取り組みが重要です。
私が目指す未来
士業として、私は国際業務に携わる中で、こうした課題を直視し、具体的な解決策を模索しています。日本が真に国際社会でリーダーシップを発揮するためには、「国際」の名にふさわしい行動と組織の変革が必要です。そのためには、まず現状を正確に認識し、問題点を共有することが出発点となるでしょう。
未来に向けて、私は士業としての知見を活かし、日本が真の国際化を実現するための道筋を提案し続けたいと考えています。