



本日、京町家の新築現場を拝見する機会に恵まれました。
これまで「京町家」といえば、改修や保存が中心であり、新たに建てられることはないものと思っていました。しかし実際に、新築の京町家がひっそりと、しかし確かな意思のもとに建てられている現場に立ち会い、「京都の景観」が“未来に向けて再び築かれている”という事実に、大きな希望を感じました。
行政書士として京都に根ざして仕事をする中で、長年、町家が取り壊され、無機質な集合住宅やコインパーキングに変わっていく光景を幾度となく見てきました。そのたびに、歴史と風土がにじむ京都の町並みが失われていくことへの悲しみを感じてきました。
「京都の景観」は、文化財のように遠くから眺めるだけのものではなく、人が暮らし、働き、営みを続けてこそ息づくものです。だからこそ、今回目にした“京町家の新築”という動きは、単なる建築行為を超え、景観の「再生」への兆しとして、私には映りました。
そして同時に、国際観光都市=京都のあるべき姿として、これらの技術が、日本文化に深い関心を寄せる外国人の若者たちを含む、未来を担う世代に継承されていくプロジェクトの展開の必要性を、私は強く感じました。
京町家の新築という希望の灯火を、単発の出来事で終わらせることなく、「継ぐ人材を育てる」ことと並行して進めていく——そうした動きがあってこそ、真の意味で“京都の景観の再生”が実現するのではないでしょうか。
京町家の技術は、単なる建築技術ではなく、日本の美意識や生活文化そのものの体現です。それを言葉や映像だけでなく、現場で、手を動かしながら体得できる環境を整えることこそが、真の景観保全に直結していくと考えます。
今後、行政や地域社会、そして私たち専門職が連携し、この文化と技術の継承に取り組む仕組みづくりが進むことを願ってやみません。
約90年ぶりの本格的な町家新築現場の見学
NPO法人JapanCraft21 https://www.japancraft21.com/ja
NPO法人祗匠会 https://shishokaigion.wixsite.com/home
祗園内藤工務店 https://www.gion-naitou.kyoto/