特定技能「外食業」でアメリカ人を雇用する!事業者が知るべき重要ポイント

深刻な人手不足の外食業界で、アメリカ国籍の方を「特定技能1号」として迎えることは可能です。しかし、海外在住の応募者を雇用し、日本で就労をスタートさせるまでには、特有の手続きと注意点があります。ここでは、特に重要な3つのポイントを解説します。

目次
1. 📝 雇用前に必須となる「受入体制の整備」
特定技能外国人を受け入れる事業者は、法令遵守と支援体制の整備が義務付けられています。
- 特定技能協議会への加入: 外食業分野を所管する農林水産省の協議会への加入が必須です。
- 支援体制の確立: 外国人従業員が日本で安定して生活・就労できるよう、生活オリエンテーション、空港送迎などを行う「支援計画」を策定する必要があります。自社での実施が難しい場合は、登録支援機関への委託が一般的です。
- 登録支援機関との委託契約の重要性:自社でこの10項目の支援をすべて実施できない場合や、支援体制の基準を満たせない場合は、「登録支援機関」に支援の実施を委託する必要があります。
この委託を行う場合は、登録支援機関との間で「支援委託契約」を締結し、その契約書の写しを在留資格申請時に提出する必要があります。 - 労働条件の確保: 賃金は、同等の業務に従事する日本人と同等以上とし、同一労働同一賃金の原則を守る必要があります。
2. 🔑 採用の壁!「技能評価試験」の受験地と日本語能力
アメリカ国籍の方が特定技能1号の在留資格を取得するには、「技能水準」と「日本語能力水準」を満たす必要があります。
- 必要な試験:
- 外食業特定技能1号技能測定試験(技能水準)
- 日本語能力試験(JLPT)N4以上など(日本語能力水準)
- 試験の受験地:
- 現在、アメリカ国内では外食業の技能評価試験は実施されていません。
- 受験するには、日本国内または試験が実施されている海外の特定国(フィリピン、ベトナムなど)へ渡航する必要があります。
受験を目的として「短期滞在」の在留資格により入国した外国人であっても、日本国内で試験を受験することは可能です。
- 注意点: 応募者が採用時に両方の試験に合格しているか、または合格見込みかを確認する必要があります。
3.📑 特定技能1号 在留資格申請の重要書類
海外にいるアメリカ人の方を採用した場合、日本国内の事業者が地方出入国在留管理局に対して「在留資格認定証明書(COE)交付申請」を行います。申請には膨大な書類が必要ですが、特に重要な書類群は以下の通りです。
📝 申請の際に必要となる主な書類
| 書類カテゴリー | 概要と主な提出書類 | 提出者 |
| 申請書・証明書類 | 在留資格認定証明書交付申請書、特定技能外国人の写真、パスポート(写し)、健康診断個人票など | 受入企業/本人 |
| 特定技能雇用契約関係 | 特定技能雇用契約書の写し、雇用条件書、特定技能所属機関概要書など | 受入企業 |
| 支援計画関係 | 1号特定技能外国人支援計画書、登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(委託する場合)など | 受入企業/登録支援機関 |
| 受入れ機関(企業)関係 | 登記事項証明書、会社の概要を明らかにする資料、決算文書など | 受入企業 |
| 特定技能該当性関係 | 外食業特定技能1号技能測定試験の合格証明書、日本語能力試験合格証明書など(試験免除者は技能実習修了証明書など) | 本人 |
| その他 | 外食業分野における特定技能協議会への加入を証明する資料など | 受入企業 |
🔑 申請プロセスの概略
- 雇用契約締結(本人と)
- 事前ガイダンス実施(本人へ)
- 在留資格認定証明書交付申請(出入国在留管理庁へ)
- COE交付(審査期間:3ヶ月程度)
- COE原本を本人へ送付(アメリカへ)
- 査証(ビザ)申請(本人が在米日本公館へ)
- 来日・就労開始(特定技能の在留資格を取得)
💡 ポイント: これらの書類は一つでも不備があると審査が滞るため、初めて特定技能の申請を行う事業者は、専門の行政書士や登録支援機関に相談し、サポートを受けることを強く推奨します。
参照先:出入国在留管理庁 特定技能制度
📌 まとめ
アメリカ人を特定技能で雇用する際は、企業側の受け入れ準備を徹底し、試験の受験方法を確認し、そして複雑なCOE申請に必要な書類を完璧に揃えることが成功の鍵となります。
